実が成ってこそ紫式部
誰が名付けたのかは分からない。
たしかに紫色の実が成るのだが…。
しかし、この木に実が成っていなかったら何の木か分かるだろうか。
「実が成るまでは何とも知れぬ木だ」と誰かが言った。
なるほど、そうかもしれない。
幹肌や葉の形で見分けることはできるものの、これと言った特徴はあまりないのだ。
歴史上の人物の名前が用いられているのだが、一致するのは「紫」のみ。
この木の特徴がその一点に尽きるからではなかろうか。
その紫の実を見て初めて「あの木だ」と判別できる人も多いだろう。
そう、実が成るまでは何とも知れぬ…。
やはり実が成ってこその紫式部である。